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レイがアイリを過保護にする理由は?

レイがアイリを過保護にする理由は? 

レイのアイリに対する過保護を疑問に思う人は多いでしょう。アイリを人質に取られた時のレイのヘタレぶりは世紀末の語り草となったようです。

 なんたって初対面のラオウの部下にまで「この男は妹の命をかけられたら なにもできぬ ただのデクの棒だ~!!」って言われる位だから。
 実際、絶叫・悶絶・土下座とあらゆる醜態をさらし、ケンシロウには「正気を失っている」とまで言われたのですから、「
なにもできぬ ただのデクの棒」というのは、案外、好意的な見方かも知れません。

 さらに、アイリ救出に成功したレイ。「アイリとどこか静かな所で暮らすさ」って臆面もなく言い放ってます。いやしくも六聖拳、もっとグローバルな視点は無いんでしょうか?乱世を鎮めるとか。南斗の乱れを正すとか。 もうね、妹さえ元気なら俺、それでオッケイ♪って香りがプンプンします。

 レイは、どうしてこんなにも「妹・命!」なのでしょう。レイのあるセリフを足がかりに、その理由について考えてみたいと思います。


 レイは自分の探す「胸に七つの傷の男」についてケンシロウに語ります。ヤツは「幸せをやっとつかもうとしたアイリを連れ去ったのだ!!」と。

やっとアイリ.jpg←「くわっ」という擬音も印象的。

 管理人が注目したいのは、この「やっと」という言葉。「やっと」って、意味深だと思いませんか?「やっと」を辞書で引くと「成立し難かった行為、状態が、どうにか成り立つさまを表す語」とあります。

 つまり、「アイリは、それまで成立し難かった幸せをどうにかつかもうとしていた」とレイは述べているのです。それって変じゃないかしら。だって管理人には、アイリの幸せが成立し難かったようには思えないのです。



ジャギにさらわれる前のアイリは、世紀末の女性としては稀に見るほど恵まれていました。両親は健在。兄は美形で優しく、南斗のトップの一人。自分も「食料1か月分という大枚」に値するほどの美人です。

 また、アイリの比較対象として下図をごらんください。当時の庶民の結婚式です。牧師さえいない、平服の質素な挙式。それでも赤の他人のおっさんに「こんな時代に のんきなこった…」なんて言われています。
庶民の挙式.jpg←北斗には珍しい幸せカップル。

 一方、アイリはと言えば、あの水不足の時代には維持困難であろうサラサラのロングヘアーをなびかせ、刺繍入りの高価なケープで結婚式に臨むはずだったのです。南斗の頂点の一人である兄の恩恵もあり、経済的には豊かであったと推測されます。

 核戦争の影響で、生活に多少の不自由はあったかも知れませんが、食うに困ったことなんて無かったに違いありません。(レイとしては「俺の懐で溶けかけた板チョコなんかじゃなくて、ゴディバ級のチョコを食わせてやりたい…」なんてことを思ってた可能性はありますが。)

 アイリ、元々すっごい幸せじゃん。と管理人は思うのです。だから「幸せをやっとつかもうとした」って表現に引っかかりを感じるのです。それは♪不幸せ数えたら両手でも足りない~♪というSACHIKO(byばんばひろふみ)のような妹に捧げる表現だろうよ!って。(古くてすいません)
 すると、ですよ。もしかして、アイリは過去に何かしら不幸だったのではないかしら。




ああ。管理人、妄想スイッチが入りました。恐らくアイリには不幸な過去があったのです。
 家族に関係することではありません。くどいようですが、両親は健在、兄は南斗六聖拳ですから。生活の苦労も無かった。とすると、不幸はアイリ本人に起因することでしょう


 ここで思い出すのはアイリの受動的な性格です。
 レイは言います。アイリは「抗う術を知らず 周囲の風に流され 人形のように生きるしかできなかった」と。こういう無防備な女性に並外れた美貌が備わるとどういうことになるか。大体想像がつきますね。おそらくアイリの不幸は
オトコがらみだったに違いありません。

 きっとアイリを狙った外道はジャギが初めてでは無かったのです。レイは南斗の修行場にいることが多く、アイリをガードしきれなかったのでしょう。きっとアイリは世紀末にウジャウジャいた外道たちに、年若い頃から翻弄されていたのです。

 外道のアプローチは手荒ですから、心身共に傷ついたこともあったでしょう。案外、そんな外道の勢いに流されて、真剣な愛を育んじゃったりしたのかも知れません。
 それなのに「従順すぎてつまんねえ」って愛した外道からポイ捨てされたとか…。それでも恋しい外道なのに、激怒した兄が粛清しちゃったとか…。
 色々あって、アイリの青春はドッロドロだったのではないでしょうか。これッくらいに気前よく不幸であって初めて、「
幸せをやっとつかもうとしたアイリ」という表現もしっくりなじむというものです。



もし、妹がそんな境遇に泣いてばかりいたら。兄は不憫でたまらないですよね。何とか幸せになって欲しいって切実に思うはずです。アイリが男がらみの不幸に泣くたびにレイは己の無力を噛み締めたことでしょう。「ふがいない兄さんですまん」と。

 そんなアイリに対して感じる負い目が、もともとレイの資質としてあった庇護欲を刺激して、レイをとんでもなく過保護な兄ちゃんにしてしまったのではないでしょうか。
 レイは義の星の男。たとえ身内でも負い目は返さなきゃ気が済まないんですよ。3倍返し位の勢いで。

 もしかするとレイは「アイリを誰からも守れる男になろう」とそればっかり考えて、南斗の辛い修行に耐えたのかも知れません。
 アイリを思って必死で頑張っているうちに、いつのまにか南斗の頂点にたどりついてしまった…なんていう泣かせるストーリーがレイには似合うように思います。



ならば、アイリがジャギにさらわれた時のレイの絶望はさぞかし深かったであろうと想像できます。
 アイリが一番オレを必要とする時に傍にいてやれなかったという自責の念…。妹一人守ることも出来ぬなど何のための修行かという無力感…。そんな強烈な自己嫌悪がレイにとって最後の一撃になったのでしょう。
 そこからレイの人生の唯一の目的は、アイリ奪還になっちゃったんです。アイリの笑顔を取り戻すこと=己の存在意義ってな位の思い込みです。

 だとするとアイリは最早単なる妹ではありませんね。レイのアイデンティティの象徴です。レイ、お前こそアイリから離れろって言いたい位ですが、そこはソレ、彼は義星の男なんで(笑)。

アイリは俺から離れた.jpg ←この時、レイもアイリから自立できたのかも。
 
 ここまで考えて、管理人、ようやくレイが理解できたような気がしてきました。
 牙一族の前での狂乱ぶりも許しましょう。レイにとっては、恥も外聞もアイリに比べれば瑣末なことだったのです。
 「アイリとどこか静かな所で暮らすさ」って妹本位なセリフも受け入れましょう。レイにとっては、傷ついたアイリを見守ることが人生の最優先課題だったのです。

 大切な人のために自分の人生を捧げるのは、野心ある男には絶対に出来ないことです。愚直なまでに他人本位な義の星の男、レイだからこそ選べる生き方なような気がします。
 そう思うと「乱世を鎮める?悪いけど誰かやっといて!」的なレイの言動からはある種の清々しささえ漂うように思うのです。


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KHS

うーん。ディアンヌ・シスコンのアランを思い出しました。本当にすてきなブログですね。昨日から爆笑しっぱなしです。
by KHS (2016-02-27 23:16) 

かしわ餅

アイリが美女じゃなかったら、レイはこんなにも溺愛しますかね?
しませんよね。義の星を持つ男なのに、殺された自分の両親の墓を守りたいというセリフが無かった。後付け設定ばっかりだから、北斗の世界は
疑問や矛盾がいっぱい。
by かしわ餅 (2018-02-27 12:30) 

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